わたしはドイツ語が大好きです。だからドイツにドイツ語を勉強しに来ました。
一番の推しポイントは発音が愉快だというところです。ドイツ語はアルファベットをそのままローマ字読みしてもどうにかなる、日本人にとても優しい言語です。しかし日本人にとっては馴染みのない発音っていうのも何種類かあります。例えば「R」の発音は、のどに詰まった痰を「カーッペッ」するときのカーのときの音によく似ています。
ドイツ語のリズム感っていうのもとても好きです。そもそも日本にいるとドイツ語を聞く機会はそうそうないかもしれません。数少ないドイツ語チャンスがヒトラーの演説だったり、春香クリスティーンのネタだったり、勢いと圧が強い言語だという印象をお持ちのかたも多いかと思います。たしかに、発声、発音的にどうしても威圧感がでてきてしまうことは事実です。先に触れた「R」も勢いつけて発音すると発音しやすかったりします。ただし文全体がずーっと威圧的であったりするわけはなく、文のなかで変調子のようにぴょこぴょこと厳つい音が出てくるのが可愛いポイントなのです。ピョコピョコしつつ、いきなりなめらかな発音が続いたりと、ドイツ語の文を聞いているとなんだかラップを聞いているみたいな不思議な心地よさがあったりします。ドイツ語自体が音楽だなあなんてよく感じるのです。
ご興味ある方はこちらを参考までに。ドイツのニュース番組です。日本の月へのロケット発射のニュースです。
そして文法でいうと、動詞以外の品詞のポジションには例外を除いて絶対的な決まりがありません。これは日本語にとてもよく似ているなあと感じるポイントです。
例えば以下の文、
今日は仕事終わりにレストランで友達と一緒にご飯を食べる。
この文を、要素ごとに分けると…
今日は / 仕事終わりに / レストランで / 友達と一緒に / ご飯を / 食べる。
となります。これらの要素を入れ替えることで文として強調したい内容を変えることができるのは日本語の柔軟で楽しい点です。
仕事終わりに今日は友達と一緒にレストランでご飯を食べる。
レストランで今日は仕事終わりに友達と一緒にご飯を食べる。
ドイツ語もこの部分に関してはかなり似ていて、動詞やある一定の品詞は固定の場所が用意されていますが(例えば動詞は基本的に2番目に置かなければならない)、その他に関しては自由で、日本語と同じようになにを強調したいかによって語順を入れ替えることができます。
しかし理想的な語順というのも存在していて、上記のようになにかを強調したいなどの意思がない場合に、自然でネイティブ的にしっくりくる語順というやつです。
そしてドイツ語を勉強するうえで一番のやっかい要素は、名詞に性があることと、冠詞の存在です。名刺は女性名詞、男性名詞、中性名詞の3つがあり、名詞は基本的に冠詞(英語でいう a,an,the)とセットで使わなければいけません。
なによりやばいのが、名詞の性と名詞の文の中での役割によってこの冠詞が変化するということなのです。
さっきの例文をドイツ語にすると下記のようになりますが、
Ich esse heute nach dem Feierabend mit meinen Freunden in dem Restaurant.
この文の中で「レストランで」は、場所を示す役割を持っているため、demという形に変化しています。
対して、
私は今日レストランに行く。(Ich gehe heute in das Restaurant.)
このとき「レストランに」はどちらかというと場所の方向を示す単語として働いています。なので冠詞もdasという形で使われているのです。
このややこしさを上手くお伝えできている自信がまるでないのですが、要はドイツ語を話すときの脳内は正しい文を組み立てるためにフル回転しているということです。
ドイツ語を喋りながら、語順を意識して、冠詞の変化を意識して、発音を意識して、イディオムを意識して、、、とやっていると自分が使った動詞さえ文後半で忘れてしまいます。
わたしは論理派とは真逆の人間です。なにか言いたいことがあったとき、その内容が脳内でパッとイメージ化され、そのイメージを言語を用いて説明するということがわたしの話をするプロセスなのですが、このときドイツ語を使うとなると大変で、イメージの断片の単語化は割と簡単にできるのですが、問題はその先で、どの語順で、冠詞はどの変化で、動詞に見合った前置詞は何か、、、、などの細かなことまで一瞬で判断できないのです。
だけどイメージと伝えたい単語は頭の中にすでにあるため、勢いで話し始めてしまって、話している途中で自分でもわけわからなくなって頓挫する、もしくは相手の読解力にすべてを託すということがよくあります。
この状態を脳内で迷子になったとわたしは呼んでいます。というお話です。
トライ&エラーで頑張るっきゃない